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「ガンに鍼灸、東洋医学 ④」

前回からの続きです。なるべく①からご覧ください。

前述の通り、このシリーズでは、
・現時点での見解
・病院に通いながら東洋医学にかかりたい方のご決断の参考になる、西洋医学と東洋医学の併用の可能性や上手な受け方のヒント

に、テーマを絞らせていただきます。
また、ここでいう東洋医学とは、中国医学をもとに、中国はもちろん、日本や韓国に広まってその国に合わせて発展した医学です。薬膳、鍼灸、あん摩マッサージ指圧、漢方薬、吸い玉等を使用した東アジアの伝統医学です。

今回は、予告の通り、東西医学のガンへのアプロ―チの違いについて、ざっと話し言葉で説明します。

ガンに注目しガンに対してあれこれ働きかけるのが西洋医学です。西洋医学は、もともと、病巣、具体的な菌やウイルス、寄生虫、体内の具体的な物質の過不足を発見しては対処するのが得意です。手術、ワクチン、ある寄生虫に特化した虫下し、ある物質をものすごく細かく分析、分類し、特定してから増やしたり減らしたりする…等々です。

病気を悪者とみなして退治するとか、問題を強引に解決したり、なかったことにしようとするフシがあります。ということは…
「手術はうまくいったのに、お亡くなりに…」とか
「検査結果は良くなったけど、ご本人はヨレヨレ、ボロボロ」とか…
ということが残念ながら起こりがちです。
なので、最近では西洋医学の本家本元の欧米でも…「ガンは時に自然に出てきて、自然に治ることもある」として、あまりいじらず、自然に治ったり、小さくなるのを待つ、という方法を選ぶ国や医者も増えているそうです。

一方…
人体の健やかさに注目し、気や生命力を活気づけ、自力で治る体を作るのが東洋医学です。気や生命力、というと、現代人はつい、とらえどころのないあやふやなもの、と思ってしまいますが、本当はとても細やかに分類されていて、法則も再現性もあります。単になんとなく元気とか、なんとなく不調とか、気分などという安直なものではありません。(もちろん気分も考慮しますが。)

東洋医学にも、もちろん、流行り病や寄生虫への対策とか、具体的な病気、病巣への働きかけという考え方はあるのですが…それよりも…

〇〇という病因によって、五臓六腑や気、血(けつ。血液に近いものの少し違うもの)、津液(しんえき。体液に近いけれど少し違うもの)のバランスが崩れてしまったのならば、バランスを正そうとします。
強い体を作ろう、へっちゃらな体になろう!!
丈夫な五臓六腑、質の良い気血津液でいれば、ちょっとやそっとのことでは病気にならないし、なったとしてもすぐ治る!!

という前提で、臓腑や気血津液の一つ一つを細やかにチェックし、木も見て森も見て全身を見ていきます。
東洋医学は、善良な市民を大切にして、讃えたことにより、悪事を働くものがほとんどいなくなりめでたしめでたし、の治世のような治療と言えるでしょう。

もちろん、東洋医学にも毒出しやデトックスという考え方はあります。

瘀血(おけつ)や邪気を出そうという治療法もあるのですが…単に異物とみなして排除するのではなく、自分の体内で発生したものなのだから、今後発生しずらい体を作りつつ、取り除いていこう、という考え方が強いです。体質改善とセットというわけです。

なんだかいいことづくしのようですが、効きが遅い、とか、緊急時には難しい、という弱点があります。
若者等、進行の早くなりがちな人や早いタイプのガンにどう使用するかは、とてもシリアスな話です。また、…「本人のコンディションはとても良さそうなんだけど…なかなか小さくならないし、検査結果もあまり変わらないし…」とガンが消えるのが遅いことに業を煮やした周りや本人が、あきらめてやめてしまうこともあるでしょう。

また、いくら体にやさしい東洋医学とはいえ、瀉法(しゃほう)という毒出しの治療の時は、バテたり、痛みが強くなることもあります。治療自体少し疲れたり痛かったりもします。
また、悪いなりに安定していた体を内側から動かすので、好転反応として、今までなかった症状までもが出てしまい、驚き慌ててしまうこともあります。一気に毒や老廃物がでるからです。

そうすると、
「体にやさしい東洋医学なのになぜ!?」と思って、がっかりすることもあるでしょう。その際、治療する側がきちんと説明やフォロー、つらさを和らげる施術の追加を適切にできるかどうかが大切になってきます。

いかがでしょうか。東西医学が全く別の医学であり、
一人の患者さんに対して、同時進行はできても混ざることはない理論ということはお分りいただけたでしょうか。

次回は、医学書の目次や索引から分かる東西医学の違いについてUPさせていただきます。
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プロフィール

やわらか堂

Author:やわらか堂
小関理恵(こせきりえ)
鍼師、灸師、
あん摩マッサージ指圧師

  • 1995年上海中医薬大学
    (WHO指定研修先)にて中国鍼短期研修
  • 1996年東京医療専門学校卒業、鍼・灸・あん摩マッサージ指圧師資格取得
  • ハートと虹色の画家
  • 癒しのライター

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